桜が咲く頃に

私もまた、出会いと別れの季節の犠牲者である。

入学式が始まるこの季節、期待を胸に過ごす青年達に、私と同じ思いをした者はいるのであろうか。

 

 

京都大学とは、一部の学部で受験時に第2志望以下の学科を志望することが許されている。幸か不幸か、このシステムのせいで合格するものと不合格になるものがいるのである。察したであろうか、不合格になり、また合格したのが私である。

合格発表の日、私は期待していなかった。受かっているとは思っていたが、だからと言って早起きする理由にはならないのでぐっすりと2度寝をきめこんでいた。複数の友人に受験番号を教えていたので自分のスマホは見ず、母のスマホで番号を探した。受験番号の後に合格した学科に相当するアルファベットが付けられる。自分の数字を見た途端、烙印を押された。合格最低点が低いだけ志望した学科、何をするかも知らないところに私は合格したようである。驚きとため息しか出なかった。喜ぶ母を尻目に、私は三度寝を決めこんだ。